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ロータリーの原点

○ロータリークラブの創設

1905年、アメリカのシカゴにポールハリスという若い弁護士がおりました。商売は繁盛していましたが、弁護士を訪ねる事件依頼人は、利欲のために大なり小なり嘘を言ってくるもので純真な心の持ち主のであった彼は非常に悲しく、淋しかったわけです。 そこでユダヤ人のクラブ、○○大学の卒業生のクラブ・・・たくさんのクラブがある中で、一業種一名のクラブを作ることを思いつきました。ロータリーは職業分類という点であらゆる会員が全く平等な立場にありますから、等差のつきやすいそれまでのクラブよりも評判がよく、会員は順調に増えていきました。

○ロータリーと名付けられた理由

ロータリークラブは当初より会館を持たずあちらの職場、こちらのホテルと会場を変えていきました。この引っ越して歩く、回って歩くところからロータリーと名づけたのであります。はじめは奉仕を旗印としたわけではなかったので、ロータリーマークも引越しを表現する馬車の車輪」をつけていました。後に、職業奉仕の成果により、ロータリーは大きな信念を持つことが出来ました。相手の身になっての言動すなわち奉仕の理想は単に職業の成功ばかりでなく、より良い社会を作るのに大切な信条となり、この時車輪のマークから相互扶助のギアのマークに変えたわけです。

発足当初         現在

○ロータリーマークの意味

奉仕の理想を中心として集まるようになったロータリークラブは更に、そのギアのマークの中央に鍵穴のような図形を加えました。これは鍵穴ではなく、心棒が滑らない為の穴であり、ギアの回転のエネルギーがこのシャフトによって外へ伝導されるように、ロータリアンの奉仕の理想が、ロータリアンの職業を通じ、生活を通じて、社会に影響を及ぼそうという理想と意欲を表現しています。

○親睦の発展

 一業種一人制は図に当たって会員は他人と思わぬような親睦の間柄となりお互いの恥を平気で話せるようになりました。しかも全員が事業家、職業人でありますから困ったことは相談しあう、慰めあう、進んではお互いに助け合い、ついには会員同士の取引やサービスの提供となって実利的にも便利な存在になりました。

○ひとつの転機   アーサー・F・シェルドンの入会

シェルドンは経営学者で、「こんな仲間の利益ばかり考えている会は永続しない。広く社会的に有用な団体となる立派な旗印が必要である」と考えました。当時倒産相次ぐシカゴの街にあって商売繁盛を続ける商家のあることに気づき、その秘密を相手の身になって励むことと見つけて

「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」  He  Profits  Most  Who  Servers  Best

の標語を掲げ、時を同じくしてフランク・コリンズが「超我の奉仕」Servers  Above  Self

を唱えこの二つが公式標語となりロータリーは団体としての性格を明らかにしました。

○ロータリーの本質

 今日のロータリーはポール・ハリスが思いついた親睦を目的としたクラブの活動の間から、自然発生的に奉仕が生まれ、展開してきたものであります。したがってロータリーの本質を、と問われれば「親睦の中から奉仕の理想を生み出す集団」と答えてよいかと思います。

○ロータリアンにとっての「ロータリー」

成功した実業家の皆さんは、そう申しては失礼ですが、個人的な欲求の旺盛な方々です。こうした意欲的な人々こそ公共心、奉仕の理想が旺盛なはずです。しかし皆様は日常の業務に営々として、ほとんどわき目もふらぬ忙しさです。

したがって、何か世の中の為に役立ちたいと思っても、いつも目前の仕事にかまけて構想がまとまらず、実行に移せません。そこで皆さんのやむにやまれぬ善意を生長させ、実行の機会を提供するのがロータリーであります。

○ロータリーの本質の存するところ

ロータリーの例会の一時間、それは皆さんの息抜きの時間です。業務の為に緊張した心も体もリラックスします。競争者のいない世界、警戒心を必要としない時間、ここではじめてわれに返り、反省が行われ、次第に本然の自分に帰ります。これが親睦から奉仕が生まれる過程でありロータリーの本質の存するところであります。

○ロータリーの奉仕は個人個人の発意

 奉仕の主体はロータリアン一人一人にあります。ロータリークラブはロータリアンに奉仕させる為のもので、団体として奉仕するのはむしろ本筋でないとされてきました。

○役員一年交代の意味

 例えば役員一年交代の点を考えてください。もし団体として奉仕するなら、適材適所で有能な役員を据え置いて数名のスタッフで、継続的に事業をするのが合理的でしょう。しかるに役員、委員の一年交代を実施しているのは会員に奉仕の勉強をしてもらいたい為です。出席をやかましく言うのもひとつはこのためです。奉仕事業団なら、これを協賛する人がお金を出せば事が済みます。しかし、ロータリーは皆さんの心の中にある奉仕の理想を高揚し、進んで奉仕ができる指導者になってもらいたいのです。

○ロータリーへの批判

 ロータリーはお金と時間がある人の昼めし会だと言われる向きがあります。こう言われた皆さんは「ロータリーは奉仕団体だ」と説明していると思いますが、果たして相手が納得するでしょうか。「地域に対して、たいしたことはしていないじゃないか」というのが一般市民の方々の反発でございましょう。あれだけ立派な社長や旦那や先生方が集まった会にしては、仕事の規模が小さすぎやしないか、と言われるかもしれません。私たちはこの批判を甘んじて受けてよいと思います。ロータリーの寄付や行為はそれ自身が目的ではなく、むしろそれを出発点として会員各自に奉仕を喚起し、またその問題に対する地域社会一般の関心を高めて、問題解決へ接近するものであります。

○ロータリーは「大学病院」という考え方

大学病院は患者の診療もしています。その診療は診療そのものが目的ではなく、よい医者を養成するための実習であります。ロータリーはクラブが行う奉仕を通じて、会員をよき奉仕的人間に仕立てる為の訓練をしております。一人ではやりにくい奉仕もあります。また、どこに奉仕が必要か、これに対してどのように奉仕すべきかなどの調査研究が必要なことは医療の場合も同じであります。すなわちロータリークラブは奉仕への調査研究機関であると共に、地域の指導者であるロータリー会員に対する奉仕への訓練機関であるのです。寄付やその行為は訓練の過程のひとつのサンプルに過ぎません。

○ロータリアンに必要なこと

 ロータリーに参加し敢行する為には、まずロータリアンとしての誇りを思い、責任を感じなくてはなりません。例会には必ず出席し、会員同士はお互いに尊敬を交わしつつ友情を深めます。例会の出席が楽しくなった時、あなたの心に奉仕の理想が沸いてくるのです。

○「善意」とは何であるか。

 善意とは「人間同士の思いやりの気持ち」と解すべきでしょう。善意の反対は言葉のうえでは「悪意」となりますが、必ずしも当たっているとは思われません。悪意というよりは「利己心」というべきでしょう。

○それでは「利己心」とは何か

 それは自己保存の本能とつながり、人間の生命線であります。生存競争に打ち勝って社会に生き残り、浮かび上がる為にはこの利己的欲望が強い必要があります。しかし人間は社会的な動物でありますから、利己心を満足させるにも一人ではできません。これが為に生まれるつながりがいわゆる縦割りの人間関係であり、親分子分、先輩後輩、上司と部下、雇い主と使用人といった関係であります。

縦に対しての横の存在

生活そのものに直結した縦の関係は極めて強靭であります。しかし人間社会にはもうひとつ横の関係があります。隣人愛、博愛、友情などによって結ばれた仲間意識であります。他人の悲しみを共に悲しみ、友と喜びを分かち合い、困る人をみれば助けてあげたいという気持ちであります。

             この横のつながりの絆をなすものがすなわち善意であります。

○現代社会とロータリー

縦割りの社会は厳しいものであり、すさんだ世相を形成しますが、横のつながりの存在によってはじめて人の心は和み、平和な生活ができる温かな社会を作ることが出来るのであります。織物に例えれば利己心は縦糸、善意は横糸です。縦糸がしっかりしていなければ丈夫な織物は出来ません。しかしそこへ適当な横糸を織り込むことによって、布の温かさも、模様の美しさも織り出されるのであります。つまりある程度の利己心とそれをカバーできる善意が必要ということです。しかし物質万能の現代社会は人々を一途に利己心に駆り立て他を顧みるいとまがありません。他人をライバル視して社会連帯感が失われていく中、こうして生まれてしまった幾多のギャップを取り除く為にも、会員一人一人の善意が高揚し、個々の活動に期待をしているというのがロータリーの目的であります。

○職業奉仕と善意

 例会で育った親睦、善意を社会に向けて自分の職業を通じ広めようとして始まった職業奉仕であります。一番身近でやりやすかった場所である職場で、買う身になって売り、使う身になって作り、受ける身になってサービスすることによって、彼らは大きな収穫を得ました。それは第一に奉仕することの喜びであり、第二に自分の職場の社会的意義を知りその誇りを体験したことであります。相手を無視、軽視してただ自己本位で働いたとすればそれは職業でなく「商売」であります。

○ロータリーが今日の隆盛をみたひとつの理由

この職業奉仕の実践によってロータリアンの事業は果然繁栄をきたし、いずれもその分野で成功をするようになりました。人間の両側面である利己心と公共心とがこの職業奉仕の理念によって両立することが証明されました。この実践哲学が世界中の事業家、専門家の心を捉え、その良心の悩みを癒すものがあることが、ロータリーが今日隆盛をみるに至った理由です。職業奉仕に成功したロータリアンはその善意の意義と力を確信したので、これは職業以外の場すなわち、家庭、地域社会に広げる必要を痛感し、社会奉仕の理念として展開していきました。

○今日の社会奉仕

物資不足の時代には金品を贈るだけでも十分喜んでもらうことも出来ました。しかしこの豊潤なこの時代にはもはや財布だけの奉仕は一向にありがたがられず、むしろ一種の軽蔑として反感さえも買うことがあります。問題は財布の中に善意がどれくらい入っているかにあります。「施し」という言葉は、富裕階級の人々が己の罪滅ぼしの気持ちで貧困者に金品を恵むことを意味しています。これは善意から出たものではなく、自己防衛、いわば利己心のカモフラージュでしかありません。決してこれであってはなりません。

○ロータリーは奉仕をする団体ではない

 世間では、いや一部の会員の間にさえ、ロータリーは団体として寄付するすなわち寄付団体であると心得ている人があります。これは大きな誤りであります。奉仕をする団体ではなく、奉仕を志し、これを実践しようとする人の集まりです。ロータリーが協会とか組合といわずにクラブと名づける理由はここにあります。そもそもクラブというのは同好者の集まりの意味であって団体として事を行うのが目的ではありません。

○ロータリーの役割

 奉仕の理想を推進すべく集まった同好者である会員にその目的を達せしめる為に便宜をはかる世話機関がロータリーであります。奉仕のスケールが小さいと世評を受ける事もありますが、いわばこれは奉仕の見本であって真の奉仕は会員個々がやるべきであり、現にたくさんの実績をあげているのであります。究極は個人の奉仕に期待をかけているのがロータリーであります。

○スマイルボックスの意義

 善意を高揚し奉仕の実感を持たせる為には、その都度拠金に頼るのが本筋です。会費の中から奉仕事業費を出していたのでは、会員に奉仕をしているという実感を持たせることはできません。しかし、その都度集めるというのは実際上困難という面もありますので、ロータリーでは、スマイルボックス(ニコニコボックス)という制度ができているわけです。めでたいこと、うれしい時に湧き上がった善意をその場で具体化し、これをプールして全ての奉仕に充てるのです。このスマイルボックスの活用こそ最もロータリーを象徴するものであります。

○社会奉仕委員会のあるべき姿

 ロータリークラブの社会奉仕委員会は団体として奉仕事業を行うよりは個々の会員に奉仕してもらうよう仕向けるのが本来の姿であります。少なくとも社会奉仕の実践を通じて会員の善意を呼び起こし、奉仕の喜びを体験させ、奉仕の意欲をかき立たせるよう活動すべきでありましょう。委員会が会費の中から予算をもらって施設へ金品を贈るといったことはロータリーの奉仕とは申しません。奉仕活動には全員が、あるいは多数の会員が参加しなければ意味はありません。

○国際奉仕とは

 国際奉仕は自然発生的に生まれたもので計画的に企画されたものではありません。ロータリーの実践哲学が世界中の人々に賛成されて各国各地域にクラブが生まれ、お互いの奉仕の理想を基に手をつなぎ合うことによって生まれたものです。「戦争は人の心の中におきるものである」との理念から、この心の中の平和の砦はその人の善意の積み重ねによってのみ築かれるというのが国際奉仕の考え方です。これは国連の作ったユネスコと全く考えを同じくするものでもあります。

○国際奉仕こそ未来の平和を約束する

 ロータリーの国際奉仕こそ、未来の世界に平和を約束するものと考えられます。世界の166カ国に31600余のクラブを持ち、120万人の善意の同士をもつロータリーこそ世界平和の担い手たる資格があります。

●ロータリーとは何か

 ロータリーの終極の目的は人間関係を改善することによって、よりよい社会を作り、平和な世界を築くために貢献することにあると思います。

 その人間関係の改善のためには一人一人の人間の善意を呼び起こし、奉仕の理想を発揚する必要があります。この奉仕の精神の発揚には、人間同士が深い信頼と友情によって結ばれる事が必要ですから、ロータリー運動の出発点は親睦活動であることが確かです。

例会出席によって親睦が生まれ、そこから奉仕の理想が高揚されるのですから、例会の一時間は楽しみながら訓練を受けられるロータリー独特の集会と言うことができます。こうして生まれた奉仕の精神を実践に移すにあたっては、会員の誰もが職場という身近な舞台を持っています。ここに職業奉仕が生まれます。しかもこの職業奉仕こそがロータリーの本質であり、また社会奉仕、国際奉仕の出発点となります。

 ただ留意したいのはロータリークラブが行う奉仕活動は、それ自体が目的であるというよりは、むしろ、ロータリアンに奉仕の実地訓練をさせるものであるという点です。したがってロータリークラブは奉仕団体とみるより奉仕を志す者の集まりで、これら同士に奉仕を実践する勇気と便宜を与える為の機関であると言えるでしょう。

以上

 

抜粋文献   ・前原ガバナー講和集  ・「ロータリー入門」  前原勝樹 著  

2002年改訂 重田政信 協力者 片岡暎子

ロータリー運営の仕組み

20世紀初頭ポールハリスを含む4名の友人で産声をあげた「ロータリー」が今年100周年を迎えることとなりましたことは、皆さんご存じのことと思います。

そして、私達を含む同志(会員)は現在、世界166ヶ国・31600余クラブ、そして1,211,723名に及んでおります。この大所帯がどの様に運営されているかを過去の歴史をたどりながら紐解いてみました。是非、ご一読ください。

デイビットC・フォワード著の「奉仕の一世紀」より

○初期のロータリー本部 その1

初期のロータリー・クラブは互いに独立しており、事務手続きではなく哲学によって結ばれていた。会員資格や会合の頻度は各クラブが定め、ロータリー・クラブの徽章さえ独自にデザインしていた。中央事務局はなく、その必要もなかった。1910年の第一回大会で、全米ロータリー・クラブ連合会が結成されても、短期的にはこの状態はあまり変わらなかった。

しかし、チェスリーR.ペリーを事務長として、連合会はロータリー・クラブと会員の情報資源、情報センターとして発展し始めた。シカゴの貸事務所の借用した机で、チェス・ペリーはたった一人の、しかも無給の働き手として、舞台裏の事務局を築き始めた。

○初期のロータリー本部 その2

ロータリーの最初の有給職員はミルドレッド・トロシンである。能力と時間をほぼ使い果たしたペリーが1912年1月にこの女性を採用した。ミルドレッドは1931年に事務局職員に行ったスピーチで、窮屈な職場でクラブ宛の週報を作成するペリーの手伝いをした様子を話している。

1912年4月、サラ・マリーが二人目の職員となり、やや広い事務所に移転した。ペリーが彼女たちを自分のオフィスに呼ぶ時には、ミルドレッドには1回、サラには2回、口笛を吹いて合図したとミルドレッドは述懐している。

○初期のロータリー本部 その3

初期の頃、連合会は「ループ」と呼ばれるシカゴ中心街の貸事務所を転々とした。1918年になると、資金節約のためにロータリー本部をシカゴ郊外に移転すべきだとポール・ハリスは確信するようになったが、チェスを始めとする他の関係者を説得することができなかった。

1950年代初頭になると、事務局の職員数が非常に増え、中心地区のビルは借りるにも買うにも高すぎるようになった。RI理事会は恒久的な本部ビルの探索を委託した。コロラド州デンバーを初め、全国で数都市がロータリー本部を迎える名誉に浴したいと熱の入った誘致案を出したが、最終的に理事会はシカゴのすぐ北にあるミシガン湖岸の魅力的な大学都市エバンストン(イリノイ州)を選んだ。

初期のロータリー本部 その4

1953年のメキシコ・シティ大会で、理事会の決定が承認され、ロータリーはエバンストンのリッジ・アベニューとデイビス・ストリートの角に、米貨130万ドル、総面積16,660平米のオフィスビルを建設し始めた。このビルは30年以上ロータリーの拠点であったが、1955年に130名の事務職員が働いた職場は1985年頃には300名が働く職場としては狭く、非能率的な労働環境となった。ロータリーの増築計画許可申請に市政府は厳しい制限を課したため、このプロジェクトはほぼ不可能に思えた。そのため理事会と職員は別の方法を検討し、結果的に信じられないような幸運とタイミングがロータリーに味方した。

○初期のロータリー本部 その5

アメリカン・ホスピタル・サプライ社はエバンストン中心部のシャーマン・ストリート1560番地にある18階建ての近代的なビルに国際本部を置いていた。バックスター・インターナショナルとの合併により、同社はこのビルを売却する必要があったため、2,400万ドル(現金の場合はそれ以下)という売値を提示した。

総面積37,160平米オフィス、専用の駐車場とカフェテリアは、ロータリーの必要なスペースを上回るものであったので、余剰スペースは収入源となり、間もなくローンを完済することができた。今日、東にミシガン湖、南にシカゴ高層ビル、北にノースウエスタン大学の木立の多いキャンパスを眺めるワン・ロータリー・センターの屋上にロータリー旗が翻っている。

○事務局の職員

ミルフレッド・トロトシンが今日の事務局職員を見たら仰天するであろう。約500名が国際ロータリーとロータリー財団のためにエバンストンで働き、100余名がスイスのチューリッヒ、ブラジルのサンパウロ、日本の東京、韓国のソウル、インドのニューデリー、アルゼンチンのブエノスアイレス、オーストラリア、ニューサウスウェールズ州パラマッタの国際事務局に勤務するほか、イングランド、アルセスターのRIBI本部に18名が勤務している。

事務総長 その1

事務局の責任者である事務総長は国際ロータリーの最高運営責任者であり、RI理事会、ロータリー財団管理委員会の決定した政策を実行する責任をRI理事会に対して負う。また、ロータリー財団の最高財務責任者であり、あらゆるRI委員会と規定審議会と国際会議の幹事である。

ロータリーの最初の百年に10人が事務長あるいは事務総長を努めた。このうち、チェス・ペリー(1910−42)、フィル・ラブジョイ(1942−52)、ジョージ・ミーンズ(1953−72)の3名が最初の64年間にこの職務を務め、今日のロータリアンが当然視する政策と伝統を形作る上で、甚大な役割を果たした。また、ハーバートA.ピグマンは1979年から86年と1993年から95年の2回にわたり事務総長を努め、この任期の間とそれに続く期間にポリオ・プラスの主任を努めている。

○事務総長 その2

RI会長に比べて目立たない存在である事務総長だが、影響力のある地位であることに変わりはない。

会長、理事会、委員会は毎年変わるが、事務総長と事務局職員は長期的な視野で重要な問題を検討することができ、ロータリーの政策や手順に継続性を与えることができる。チェス・ペリーのロータリーへの貢献はこれまでの章で詳しく述べてきたが、要約すれば、チェス・ペリーは数々の難所を超えながら浅瀬を旅する初期のロータリーの舵を取り、他のどのロータリアンにもまさるビジョンと一貫性と決意と組織力で、広い水路へとロータリーを導いたのである。

事務総長 その3

ジョージ・ミーンズは後継の事務総長もそれぞれがロータリーに深遠な影響を与えられることを実証した。その指揮の下で、職員はおのおの高水準の事務手続きをとり、与えられた課題を完了することを厳しく義務付けられた。元海軍士官であったジョージは、命令口調で、時間厳守と服装規定を強調した。

事務総長に就任する前、RI理事会はジョージを第2次世界大戦後のインドに派遣し、非生産的な支部を閉鎖させている。その際、帰途につこうとしている彼に、日本に立ち寄って日本のロータリー・クラブを再建する援助ができないか様子を見るよう理事会から指示があった。

○日本のRIへの復帰

ミーンズは「やればできる」という性格の通り、横浜港に降りるとただちにダグラス・マッカーサー元帥に面会に行った。米国駐屯軍の隊長として戦後の日本の安定を回復する任務を負っていた元帥は、非常に感銘を受け、出来るだけ早く日本のロータリー・クラブが復興するよう、ミーンズに日本全国を自由に旅行する許可を与えた。

数週間のうちに、彼は東京、福岡、神戸、京都、名古屋、大阪、札幌でクラブを再結成した。

○事務局の仕事 その1

今日サービスが重要視される世界中の企業において、従業員は株主全員が実は「企業内にいる顧客」であると捉える考え方が支流になっている。しかし、これは65年前にチェス・ペリーが事務局職員に浸透させた態度であった。

毎日、何千回も職員は「おはようございます。国際ロータリーです。」と相手側がどのような話を始めるか全く見当がつかなくても、明るい声で電話に応える。しかし、何語であっても、話題が何であっても、事務局の誰かが答えられることになっている。

○事務局の仕事 その2

職員は、訪問先の町にあるクラブの例会日時を知りたいロータリアン、執筆中のスピーチ原稿に使える事例を探している国際ロータリー役員、また人道的プロジェクトの補助金を探しているクラブなどから電話、書簡、ファックス、Eメールを受け取る。事務局職員はロータリーの方針や手順について情報を提供し、アイディアを共有する情報センターの役割を果たす。ロータリアンとクラブに刊行物、手引書、名簿、ビデオテープ、ロータリー・ウェブサイトの情報を提供する。また、ロータリー財団のプログラムを含め、30余のロータリー・プログラムの広報を担当する職員もいれば、国際会議や大会の手配を担当する職員もいる。

○事務局の仕事 その3

ロータリーの国際性を反映して、エバンストン本部の職員も41カ国、56の言語・方言を代表する。エバンストンの職員のうち、百名近くは海外生まれで、222名は英語以外に最低一カ国語が話せる。スイスのチューリッヒにある中央ヨーロッパ事務所の41名のスタッフは合わせて24ヶ国語を話す。

エバンストン本部の翻訳部職員は公式文書をフランス語、スペイン語、ポルトガル語、日本語、韓国語に翻訳して刊行するが、個人宛の手紙やパンフレットははるかに多くの言語に、あるいは言語から翻訳されているチューリッヒ事務所では日常的にフランス語、ドイツ語、イタリア語、スウエーデン後、アラビア語の翻訳を行っている。

○民主主義の実践

国によっては、ロータリーは生まれて初めて国民が体験する民主主義であったと言える。ロータリー年度は、7月1日に始まり6月30日に終わり、暦年の年末前に次年度のクラブ、地区、国際ロータリーの役員を決定する選挙が行われる。一般に、ロータリー・クラブは各1名の会長、副会長、幹事、会計と4名の理事(クラブ、職業、社会、国際の4大奉仕部門をそれぞれ担当する)を選出するのが普通である。

○地区の分割

1912年のミネソタ州ドゥルースの大会で、クラブを地域別にまとめる必要性を認めた代表議員は、ロータリー世界を8部門に分け、それぞれを副会長が担当することとした。1915年にロータリーは「部門」を「地区」に変更した。それまで部門には地域名(例:カナダ西部)が与えられていたが、地区の名称には番号が用いられた。各地区には当時45〜60のクラブが所属しており、今日もこれが平均的な数値である。例えば英国のロンドンはそれだけで1地区を構成し、80余りのクラブがある。その反対に、多くの国や複数の時間帯にまたがる広大な地区もある。第5010地区はカナダのユーコン地方、米国のアラスカ州、そしてウラル山脈に至るロシアのシベリア全域を含む。「私の地区の面積は650万平方マイル。ロシアのクラブに行くには3日かかります。」とワンダj・クックセイ2001−02年度地区ガバナー(アラスカ州ダグラス)は述べた。

○地区ガバナー(RI役員)

地区ガバナーは任期一年の国際ロータリー役員で、地区内のクラブが選出する。ガバナーは地区大会と、クラブ会長のための研修セミナーを開催する任務があり、また地区内のクラブを隈なく訪問して各クラブの活動を評価しなければならない。ロータリー本部は1919年に早くも、地区リーダーには優れたリーダーとなるための訓練が必要だと認識していた。この年、ロータリー本部は初めて地区ガバナーの公式な会合を召集した。これは彼らがアイディアを分かち合い、新しいプログラムや手順について学び、ロータリーの親睦と成長を増進する理想的な機会であった。国際審議会は後に国際協議会と改称されたが、このロータリー年度に開催された最も重要な会議の1つであったことは間違いない(第19章の「国際協議会」を参照)。

○RI理事会

地区ガバナーの任期を完了したロータリアンは国際ロータリー理事の選考対象となる。現在は18名の理事から成るRI理事会は、永い年月の間に構成人数は変わっても、常にクラブの地理的な分布を反映し、10〜12カ国を代表してきた。ロータリーは米国組織ではなく、米国で創設された米国に本部を置く国際組織である。

国際ロータリーは12〜18の地区を1つのゾーンとしている、ゾーン別の役員や事務職員はいないが、元、現、次期RI役員を対象にロータリー・ゾーン研究会が毎年開催されている。国際ロータリーは各地理的ゾーンから交替で理事候補を求めるため、1国がRI理事会で多数を占めることは不可能だが、理論的にはロータリー・クラブが1つか2つしかない小国からRI理事が選出されることはありうる。

○RI会長

ロータリーで選出される最も高い役職であるRI会長の選考対象となるには、RI理事として1任期を終えていることが必要である。所属クラブの推薦を受けたRI会長候補者の中から、元RI理事で構成される国際的な指名委員会が会長を選出する。

会長エレクトと会長は全世界のロータリーを代表するために、生涯の少なくとも丸2年間を捧げる。理事会の会合に参加していないときは、ロータリーの会議に出席したり、国家元首と会談したり、ロータリーの奉仕プロジェクトを視察したり、財団晩餐会で講演をしたりするために飛行機で移動中のことが多い。

○RI会長のテーマ

1949年に米国のロードアイランド州ポータケットのパーシーC・ホジソンRI会長が「我々のチームの目標」を配布し、RI会長がその年度のテーマを作るという伝統が始まった。

始めの頃は多項目から成る複雑な目標が掲げられ、ほとんどの人にとって憶えにくかった。しかしウルグアイ、モンテビデオのホアキン・セラトサ・シビルス1953−54年度会長は「Rotary Is Hope in Action」(訳注:公式な邦訳は存在しない)をテーマとして選び、これは簡潔で、憶えやすく、効果的であった。1957年以降、どの会長もこのパターンに倣っている(RI会長とテーマの一覧については補遺を参照)。

○国際大会

年に一度開かれる国際大会は仕事と親睦を合体させたものである。すべてのロータリアンに参加資格があり、各クラブは会員数に応じて一票かそれ以上の議決権を与えられている。選出されたRI会長と全地区ガバナーの承認、事務総長による報告等が通常行われる。

しかし大会のより大きな目的は、世界のロータリアンが出会う場を提供することである。多様な言語、服装、習慣、文化を持つ彼らがロータリーの親睦を謳歌し、社交と余興を楽しむために集まる。

時期クラブ会長に刺激と意欲と情報を与えることに重点が置かれる。大会は世界中で開催され、同じ国で2年連続して開催されてはならないことになっている。

大会と期を同じくして、元RI役員の国際研究会、青少年交換役員の会議、ローターアクト大会、RYLA代表の会議等が開催されている。

○規定審議会 その1

1910年以降、重要項目はすべて代表議員が年次大会で審議し、決定していた。まだ組織が小さい間はこれでよかったが、1930年シカゴでの25周年大会に11,000人が出席する頃になると、事が難しくなってきた。実に多くの提案が出され、討議されたため、RI理事会はこの伝統を変える必要性に迫られ、その結果として規定審議会が出来、1933年ボストン大会で、この案が採択され第1回目の規定審議会が1934に開催された。規定審議会はロータリーの「議会」と形容されている。世界の各地区が地区ガバナーとして一任期を完了した者の中から一人の代表議員を選出し、地区内のクラブ代表として審議会に派遣する。この地元レベルのロータリアンが、数名の元役員と共に、ロータリーの定款文書を修正してロータリーの顔を変える力を持つ。規定審議会は決議の形で、RI理事会に方針の勧告を行う。

○規定審議会 その2

当初の構想は、規定審議会が年次大会での決議に先立って、案件を審議し、分析する諮問機関となることであった。

1970年アトランタ大会で、規定審議会を諮問機関から立法府へと変える決定が行われた。1974年以来、規定審議会は手順やプログラムの微修正からロータリーの目標の根本的改正に至る数百の案件について審議し、議決するために3年に1度開催されている。RI理事会も、世界で最も小さいロータリー・クラブも同様に審議会に案件を提出することができる。審議会での決定は全て各ロータリー・クラブに提示されなければならないが、今日まで審議会の決定が覆されたことはない。

○独自のグループ・RIBI その1

RIBIという頭文字で知られているグレート・ブリテンとアイルランドの国際ロータリーは、世界的なロータリー機関の中で独自のグループを形成している。しばしば誤解されることもあり、RIBIの身分は永年にわたって盛んに論議されてきた。

スチュアート・モローは1911年に初めてロータリーをダブリンに設立した後、速やかにベルファストで、そしてアイル海を越えてスコットランドと北イングランドでもクラブを設立した。モローがこれらのクラブを精力的に結成していた頃、他者の手よってロンドン・ロータリー・クラブは姉妹クラブの結成に乗り出してい

○独自のグループ・RIBI その2

1913年10月に、ロンドン、マンチェスター、グラスゴー、エジンバラ、リバプール、ダブリン、ベルファスト、そしてバーミンガムのロータリー・クラブから代表が集まりロータリー運動の発展のためにどのように互いが協力できるかを話し合った。1914年5月4日、これらの自称「創始クラブ」が、英国(当時、アイルランド島全体が含まれた)のロータリー・クラブの間でロータリーの原則と手順を標準化することを目的に英国ロータリー・クラブ連合会(British Association of Rotary Clubs=BARC)を結成した。BARCは国際ロータリー・クラブ連合会には加入しておらず、自治的な独立組織であり、その役員は加盟クラブが選出していた。BARCの名誉幹事トーマス・スティーブンソンは、「シカゴから遠距離にある英国のロータリーには、英国の流儀が必要であり、辺り障りのないように言うことができるとすれば、英国の行政機関が必要である。」

○独自のグループ・RIBI その3

BARCの結成から2カ月経たずして、ヨーロッパは戦火の渦の中にあった。当初から米国との連絡は難しかったが、戦時中はシカゴのロータリー本部と英国のクラブや会員の間で短時間に連絡を取り続けることはほとんど不可能に近かった。

戦争にもかかわらず、英国のロータリーは成長し続け、シカゴと接触が稀であったため、英国のクラブはBARCへの依存を深め、ロータリーの援助源、行政機関としてのBARC支持の姿勢を固めていった。英国の連合会は加盟クラブに国際ロータリー・クラブ連合会にも加盟するよう奨励し、ほとんどのクラブはそうしたが、戦争のため、米国のロータリアンには英国のロータリアンに国際的なロータリー運動に加わったと実感させる術がなかった。

○独自のグループ・RIBI その4

1918年に戦争が終わると、多くの米国のロータリアンは英国のクラブがシカゴに本拠を置く国際ロータリー・クラブ連合会(1922年に国際ロータリーと改称)を受け入れるものと考えていた。

しかし、英国のクラブは自分たちにはすでに能率的な連合会があり、終戦時にはBARCに30クラブが参加しており、6地区にまとめられていた。その後数年にわたり、国際ロータリーという1つの行政機関の下に全てのロータリー・クラブが帰属するよう、BARCを禁ずるべきだと強く主張する者も一部にあったが、1921年エジンバラ大会でひとまず解決を見た。

○独自のグループ・RIBI その5

エジンバラ大会で代表議員は、一国に25以上のクラブが存在する場合は、その国のクラブは行政単位となる権限を国際大会に申し込むことができると決定した。英国とアイルランドのクラブはただちに地方機関として認識されることを申請した。彼らは1922年ロサンゼルス大会に定款・細則案を提出し、「国際ロータリー英国・アイルランド連合会」という名称を選び、これが採択された。

しかし1927年にベルギーのオステンド大会で、これ以上の地方機関や行政機関の承認を許す条項が排除され、RIBIは唯一の下位機関となった。RIBIは例外的存在であるが、今日も継続している。

○独自のグループ・RIBI その6

1964年、RIBIの地方行政単位としての地位に再び強い反対が唱えられた。この問題はカナダ・トロントの規定審議会で激しく論争された。主な懸念はRIBIが異なる役員や財務の仕組みの前例となり、他の地域も行政単位の地位を求めるという脅威であった。1966年に開催された次回規定審議会で、ロータリー流の友情を実演する形で事が解決した。RIBIは地区ガバナーを始めとする他の運営の仕組みについてRIの肩書きを採用し、RIBIがRIのために行う運営業務への報酬として、RI会費が共有されることになった。

英国では、理事会ではなくクラブ審議会がクラブの運営機関であり、地区審議会がガバナーによる地区の運営を援助する仕組みになっている。各地区ガバナーは選出された会計、副会長、会長と共にRIBIの運営機関である総務会を構成する。RIBIは2つのRIゾーンに別れ、ロータリー世界の他地区と同様に、RI理事会のメンバーを選出する資格がある。元RIBI会長4名がこれまでRI会長に選出されている。

○まとめ

奉仕の一世紀を通し、ロータリーをめぐる世界は大きく変化した。しかし、1905年にロータリーのパワーが地元クラブにあったのと同様に、今日でもそうである。「ロータリーはクラブから切り離された別個のものではなく、クラブの集合体である。さらに包括的な意味で、国際ロータリーはクラブを構成するロータリアンである。」とチェス・ペリ−が1957年に記している。ペリーの認識の通り、ロータリーの河の強い流れをつくり、それに乗って進んで行くのが各ロータリアンであり、クラブである。

抜粋文献  「奉仕の一世紀」デェイビットC.フォワード著 日本語訳監修 菅野多利雄


「地区」の役割

ロータリー地区

ほとんどすべてのロータリー・クラブが地理的な地区に分類されています。各地区少なくとも75クラブ、2,700名の会員を有することが奨励されていますが、この条件を満たせない地区もかなりあります。各地区は、地区ガバナーによつて直接監督されています。地区ガバナーは、地区内クラブによって指名され、国際大会で選挙されるRI役員です。ガバナーの総合的使命は、地区内クラブがロータリーの綱領を推進するのを援助することです。

○地区ガバナー

地区ガバナーは、RI理事会の方針とRI定款細則に従つて、地区内クラブを直接監督します。地区ガバナーは、RI役員として、RI理事会の総括的管理下に置かれます。地区ガバナーは、RIの管理に沿って、地区内クラブがロータリーの奉仕の理想を遂行するよう援助します。

地区ガバナ―は、任期中、新クラブの結成と会員増強を奨励し、ロータリー財団プログラムヘの参加と財政支援を推進します。また、地区大会を計画、主催します。ガバナー月信を発行します。地区ガバナーは、ガバナー・エレクトのときに、国際協議会に出席しなければなりません。その後2月中に地区チーム研修セミナーを開催し、3月中に、会長エレクト研修セミナー、4月もしくは5月に地区協議会を開催しなければなりません。

ロータリアンが地区ガバナーに指名される資格条件は何でしょうか? まず、クラブの正会員でなければなりません。就任までに少なくとも7年間ロータリー・クラブに在籍しなければなりません。1年間ロータリー・クラブ会長を務めたことがあり、ロータリーについての実際的知識があり、管理能力には定評があり、かなりの時間とエネルギーをロータリー責務の遂行に費やす意思がなければなりません。

韓国のロータリアンの文昌模氏は、80歳でガバナー就任を要請されたとき、次のように答えました。貧しい人々のために1日16時間診療所で医師として働いていました。この事実がロータリー地区指導者の激務をこなせるかという疑念をすべて払拭しました。文昌模氏の奉仕の信条は『神は二つの目を与えてくれた。しかし、私たちは自分を見ることはできない。他の人を見るだけだ。本当に思いやりをもつということは、他者への奉仕に生きることである』というものでした。

○地区リーダーシップ・プラン

1987-88年度に当時のRI会長のチャールズ・クラー氏が長期計画委員会を設置しました。その最終報告は1992年にRI理事会に提出されましたが、国際ロータリーの基本的管理単位の地区に関する二つの主要問題が浮き彫りにされました。一つは、毎年新クラブが多数加盟し、そのために労力を割くため、地区組織の効率が危機にさらされている、ということです。もう一つは、最も適任の人が毎年ガバナー職に就任するには、地区ガバナーに期待する業務時間と直接監督を減らさざるを得ない状況になっていることです。

同委員会は、その勧告案で、地区の内部組織を変更することによって「最大の能率、効果、費用の削減を達成すること」をロータリーに要請しました。委員会の構想する地区管理機構案は、以前ならガバナーだけが遂行するものとされてきた任務の委任を認めるものでした。その結果、事務総長は、RI理事会の要望を受け、1992年国際協議会で、地区組織の改正のための3年間の試験的プログラムを発表しました。これが地区リーダーシップ・プランです。12地区から試験的にスタートした地区リーダーシップ・プランは、2002年7月にはすべての地区が採択することになり、ガバナーはガバナー補佐を任命して、その責務の一部を委任しています。

○地区大会

年度における地区の会合で最も重要なのは、地区大会です。地区大会は、ミニ国際大会とも言えます。地区大会は、会期2日か3日で、地区にとつて最適のときに開くことが推奨されています6地区ガバナーとクラブ会長の過半数が合同で期日を決定しますが、地区協議会、国際協議会、国際大会、ロータリー・ゾーン研究会とかち合わない日にします。

地区大会は、親睦、基調講演、グループ会議、フォーラム、展示などを通じてロータリー・プログラムを推進します。通常、現在のRIテーマに焦点を当てます。すべてのロータリアンもその家族も、青少年交換学生、インターアクター、ローターアクター、研究グループ交換チーム・メンバーとともに、出席を歓迎されますし、奨励されています。地区大会にはRIの会長代理も出席します。会長代理は、基調講演とロータリーの現況報告をします。

地区大会はまた、3年に1度開催されるRI規定審議会で審議される立法案を提出する権限もあります。時には地区大会の講演者の1人が、ロータリーの理想または目標にふさわしい見解を有する著名人である場合もあります。例えば、旧ソ連の指導者、ゴルバチョフ氏や米国のテレビジャーナリストのビル・モイヤーズ氏も地区大会で講演しました。ロータリー情報、感銘を与える講演、討論は地区大会の建築用ブロックです。親睦は接着剤です。

また、地区大会は、娯楽性の高い余興番組で味付けをしてあり、ロータリアンと家族に旧交を温め、新しい友人を得る機会を与えます。地区大会については、地区の裁量が大きくなっています。2日以上3日以内の会期は推奨事項であり、ロータリー関係に9時間充てるということも必ずしも必要とされないようになりました。

○地区チーム研修セミナー

ガバナー・エレクトが、自分がガバナーを務める年度のガバナー補佐、地区委員などの地区指導者チームをまとめるためのセミナーで、クラブが、会員増強、財団支援、指導者育成に力を発揮できるよう支援するものです。2月中に丸1日をかけて開催されます。

○会長エレクト研修セミナー

国際協議会後に、ガバナー・エレクトは会長エレクト研修セミナー(PETS)を開かなければなりません。このセミナーによって、クラブ会長エレクトは、次期RI会長のテTマとロータリー・プログラムを実施する準備が整うのです。また、会長エレクト研修セミナーにより、クラブ会長エレクトは、新ロータリー年度のクラブと地区の活動を企画し、指導者のやる気を起こし、地区運営についての情報を提供できるのです。3月中に、食事と休憩を除き12時間、開催することになっています。

○地区協議会

PETS終了後の4月、5月中に、食事と休憩を除き7時間、開催することが奨励されています。すべての次期ロータリー・クラブ会長、幹事、重要な指導者が出席します。地区協議会は、ミニ国際協議会のような形式で、教育方法と分科会を活用して、次期クラブ役員がロータリーの奉仕プログラムを推進する任務を把握できるようにします。クラブ役員は効果的なクラブ運営について学び、次年度の本仕目標の達成方法について意見を交換します。クラブ役員は毎年7月に入れ替わりますが、ロータリー奉仕に継続性を与えるのが地区協議会です。地区ガバナー・エレクトは、地区ガバナーと協力して、地区協議会を計画、主宰します。

抜粋文献「ロータリアン必携」2004年改訂版  改訂 RI日本事務局財団室長 片岡暎子

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